人格の形成に一番大事なもの。

青少年健全育成条例改正案が継続審査(東京都の青少年健全育成条例改正案、継続審査が決定 -INTERNET Watch Watch)になったけど、本当にこんな条例が通らなくて良かったと安心している。そもそもだけど、青少年の健全な育成のためという旗印の下に検討された条例だけど、表現の自由言論の自由が青少年の精神にとって良い影響があるはずがない。

人格の形成に一番大事なものってなんだろうか?「非実在青少年」なんて言葉を持ち出した人はきっとそんなことも分かってないんだろう。人格の形成に一番大事なのは、他者の人格を尊重することじゃないか。

他者の人格を尊重したり肯定したりというのは口で言うほど簡単じゃない。たとえ相手が自分の嫌いな思想の持ち主であっても肯定しなければいけないからだ。「非実在青少年」を考えた人達は、明らかにロリコンに対する嫌悪感があるんじゃないかな。これは明らかにロリコン的な思考すら許さない勢いがある条文だから。

日記でロリコンをカミングアウトしている人(http://d.hatena.ne.jp/nakamurabashi/20100319/1268936388)が居るけど、ロリコンってのはとても不幸な人種だと思う。なぜって、合法に欲求を満たす術が存在しないのだから。ロリコンではない自分にとっては対岸の火事なのだが、日記の主であるid:nakamurabashiさんはそういう自分のやっかいな性質と対峙して大変苦労されてる。自分の厄介な性質によって、他者の人権を侵害しないようにだ。その努力っぷりは文面の端々から読み取れる。立派なことだと思うし、その人格は尊重されるべきだと思う。ロリコンじゃなくなれば彼は苦痛から解放されるので、そうなればいいのになあとは思うけど。

他者の人格を尊重しなかったり、思想そのものを否定すると、それは差別に繋がる。今現在、世間がロリコンを見る目は差別そのものでしかない。差別はまた別の差別を生んで、その連鎖が広がっていく。そして世の中がどんどん住みにくくなっていってしまうんじゃないか。

青少年の健全な人格形成にとって必要なのは、ロリコンへの差別をすり込むことじゃなくて、どういった思想の持ち主であっても人格を尊重することを教えることだ。それには他者の思想や表現・言論を否定しないことが必要なんだ。だからこんな表現を規制するような条例なんか通しちゃダメなんだ。

他者の人格を尊重するというのは、世界レベルで見るともっと厄介だ。世界には色んな文化や風習を持った国や地域が存在するから。国内だけでも大変なのに、色んな国がうまく折り合ってやっていくのはとても難しい。だからイスラムキリスト教は対立するし、日本は鯨を食うなと非難される。そういうのは全て、異文化=自分の知らないことに対する恐れから来るんだと思う。「非実在青少年」という言葉を考えた人達も、シーシェパードも根源的な部分では同じなんだ。それは他者を受け入れたくないということ。他者を受け入れる器や勇気がないということ。

人はもっと勇気を持って、他者の人格を、自分以外のものを、そして異文化を受け入れる覚悟を決めるべきなんだ。それが明日に繋がるから。