競争にもまれて強くなろう。

Inspired by 競争にもまれても強くならない。 島国大和のド畜生

元記事には山ほど突っ込むべきところはあるけれども、ここはひとつ手短に。

 競争にさらされる事で強くなる等と盲信して、ハムスターの縄張りに、キングギドラの上陸を許す奴は、楽天的というレベルでは無い。利敵行為だ。

このたとえはひどい。そもそも前提からして間違っている。ハムスターの縄張りにはたとえ許されたってキングギドラは来ない。そもそも規模が違いすぎて食えないでしょ。100円、200円単位のビジネス=ハムスターだとして、億単位の資本を持っている輩が今更そんなビジネスをするだろうか?

そもそも、ハムスターだってそこですでに生存競争をしている。競争のない世界をハムスターに例えるのは間違っている。

おそらく元エントリ主が言いたかったのは「外敵が居ない方が業界が繁栄する」という旨のことだとは思うのだが、これは短期的には確かに正しいだろう。実際、生物も外敵が居ない環境なら増える増える。しかし、淘汰が働かない場合、そこに「規模の成長」はあっても進化や発展はない。長期的にはその点が問題になる。

もちろん、自国の産業が未熟で保護が必要な場合には保護・支援するべきだろう。だが、そういった保護は期限付きにするべきであり、最終的には産業は自立しなければならない。自立が出来ない産業はそもそも必要ない。(国の風土と合ってないのだろう。)不要な保護が残っていると、規模だけが大きいあまえた企業が跋扈することになってしまう。そういった企業は政治と癒着し、進化せず、国を疲弊させることになるだろう。

 そもそもgoogleamazonとガチバトルして勝てる企業体力のある会社なんかあるのか?

この問いには、「そもそも日本でGoogleAmazonと勝負する必要はない。勝手にやらせておいてOK。」だと答えたい。問自体がナンセンス。日本にすべてがそろっている必要はない。得意分野に注力して、しっかり外貨を稼げばいいのだ。GoogleAmazonのサービスは、単にありがたく利用させて頂くだけでOKなのだ。そもそも、両社とも日本法人があるし、日本で雇用を創出してくれていることを忘れてはならない。雇用の面でも利用させていただけばいいのである。

 競争にさらされて強くなる以前に、死ぬわ。勝負にならない。手合い違いにござる。

企業が競争で敗れても、人が実際に死ぬわけじゃないから問題はない。人材が足りないところへ人が流動すればいいだけである。借金を背負ったら破産宣告すればいいだけである。「失敗=死」という日本の風潮がいちばんイケナイんじゃあないだろうか。

戦力比も考えず、いきなりガチ勝負すれば、国際競争力がつくとか、バカじゃないのか?

日本には資源がない。最終的に、食っていくためには海外から資源を調達しなければならず、そのためには海外へモノやサービスを売らなければならない。つまり、日本という国は根本的に海外との競争から目をそらすことが出来ないという宿命を背負っているのである。ビジネスにおいて敗戦国にならないようにするには国際競争力が必要。実際、電気メーカーや自動車メーカーなどは国際競争力がある。TOYOTAはしっかりガチバトルしているじゃないか。

国際競争力をつけるために市場を開放する動きは別に悪いことじゃない。そもそも、海外の企業にとって日本という市場は、規制がなくなっても様々な障壁が存在する。例えば言語。日本語ほど特殊な言語は他に存在しない。日本の商習慣もかなり特殊で、海外のビジネスマンがいきなり日本へやってきても、たいていうまく行かないことが多い。

あと、ガラパゴスについては、産業を保護してきた側面もあるけど、成長の芽をつんできた側面があるのを忘れてはいけないと思う。例えばガラケー。海外と同じ規格にしていれば、日本のメーカーはもっと海外向けの携帯端末を開発することができただろう。

元エントリの「戦略が必要」という主張には同意するけれども、市場開放=バカというのはいささか考えが足りない。特に長期的な視点が抜けている。あと、保護という利権を享受した輩どもは、なかなかそれを手放そうとしないという点についても考えたほうが良いだろう。後々遺恨を残すような政策は賢いとは言えないので、保護というのはできるだけしない方がいいのである。



元エントリを読んでまっさきに頭に浮かんだのは外来種問題。ビジネスと違って、生物は海や地形といった障壁によって、物理的に隔離されている。その障壁を人間が破り、外来種を持ち込むことがどれだけ危険な行為であるかは、元エントリ主はきっと理解しているに違いない。ブコメにも賛同する意見が多く見られたけど、そういう人たちはきっと外来種問題を理解していると信じたい。バス釣り反対。